財産の分け方 : 相続110番

財産がいくらなのか計算します

相続財産の計算

相続税はすべての人が納めなくてはならない税ではありません。統計によれば、相続税の申告をした人は、相続した人全体のおよそ5パーセント程度の人たちだけという結果が出ています。
ただし、相続税は、相続した人ばかりではありません。遺言によって財産をもらった人にも相続税の支払い義務があります。相続税は累進課税制度になっていて、計算は複雑です。
以下におおまかな計算の方法を書きました。

@まず「正味」の相続財産の総額を計算します

相続する方ひとりひとりが、実際に取得した財産の額に、生前贈与などで以前にもらった分や、死亡退職金などのいわゆる「みなし相続財産」をプラスして、それから今度は個人の残した借金などの債務や、非課税財産(以下の表を参照してください)をマイナスして、最後にそうして出た各個人の金額を合算します。すると、「正味の」相続財産の総額が出てきます。

A「税金のかかる」相続財産の総額を計算します

上記の計算で出た、「正味の」相続財産の総額から、基礎控除される額(5,000万円+1,000万円×法律で決まった相続人の数)を差し引きます。そうして出たのが「税金のかかる」相続財産の総額です。 ただ、差引きしたこの時点で総額がマイナスになるようでしたら、相続税はかかりません。ここで、終了です。 プラスになるようでしたら、今度はその額を相続財産総額に対する各個人の相続財産額に応じて割って、最後に各個人の「課税される」相続財産の額を出し、その額に応じて以下の表にある相続税の税率が適用されます。


ですが、相続財産の計算にはさまざまな特例措置があり、実際の計算は非常に複雑ですので、当事務所では専門家に依頼されることをお勧めしています。詳しくは当事務所にお問い合わせください。

@・Aの参考資料

表1.課税される相続財産の額とその税率
各個人の
「税金のかかる」相続財産の額
税率 控除額
1,000万円以下
1,000万円超3,000万円以下
3,000万円超5,000万円以下
5,000万円超1億円以下
1億円超3億円以下
3億円超
10%
15%
20%
30%
40%
50%
なし
50万円
200万円
700万円
1700万円
4700万円

例えば相続税は概算で
「税金のかかる」相続財産の額が
もし1,000万円なら→
もし3,000万円なら→
もし5,000万円なら→
もし1億円なら→
もし3億円なら→
もし5億円なら→
100万円!
400万円!
800万円!
2,300万円!
1億300万円!
2億300万円!


表2.相続財産の相続税のかかる・かからないの区分
税金のかかる財産
土地 宅地、農地、山林、牧場、原野など
土地の上の権利 地上権、借地権、定期借地権など
家屋 自宅家屋、貸家、工場、倉庫、駐車場など
事業用の財産 機械・器具、備品、車両、製品、商品、半製品、原材料、農産物、牛馬、果樹、営業権など
現金・預貯金・有価証券 現金、各種預貯金、株式、公社債、出資金、信託、証券投資信託など
家庭用財産 家具、什器、備品、自動車、宝石、貴金属、書画骨董、電話加入権など
その他 自家用立木・果樹、貸付金、未収金(地代、家賃など)、配当金、ゴルフ会員権、特許権、著作権など
生命保険金 税金のかからない部分を越えたものに課税されます。
死亡退職金 税金のかからない部分を越えたものに課税されます。
個人年金 亡くなった方が負担した掛け金に対する部分に課税されます。
生前分与財産 お亡くなりになる3年以内に、亡くなった方から贈られた財産です。
特別縁故者の分与財産 誰も相続人がいないとき、特別縁故者に分与される財産です。
税金のかからない財産
祭祀関係 墓地、墓碑、仏壇など
祭儀関係 花輪代、香典、弔慰金(非課税部分に上限があります)など
生命保険金 相続人が受け取った金額 (500万円×法定相続人の人数)は非課税になります。
死亡退職金 相続人が受け取った金額 (500万円×法定相続人の人数)は非課税になります。
心身障害受給権 心身障害共済制度による給付金の受給権です。
公益事業財産 宗教、慈善団体などの公益事業で受け取った公益事業財産です。
寄付 国、地方公共団体、公益団体へ寄付した財産です。

相続税対策をします

相続税が発生しそうになったら

もし相続があったら、うちは相続税を払わなければならないだろうか?
皆様にとって一生に一度あるか無いか、という出来事ですので、経験の無い方が多数ですから、当然そんな疑問を持つことはあるかと思います。


しかし、相続税の計算には、相続する財産に対してまず「基礎控除」という免税枠(つまり税金がかからない範囲)があります。
金額としては5000万円+(1000万円×法律で決まった相続人の人数)です。


また、土地と建物など、相続税の計算の時の不動産の評価は、実際に街で売買されている価格よりも一般的に低いので、一概には言えませんが、おおよそ普通のご家庭の場合では、不動産、預貯金や有価証券などもろもろ合わせて大体1億円くらいの財産がなければ相続税はかからないことが多いのです。
実際、近年の統計では相続税を納めている人の割合は約5パーセントという結果も出ています。


ですが、それは相続税を「無視していい」ということではありません。
昔から「三代相続が続くと財産が無くなる」といわれているように、相続税の税率は高いので、たくさん財産をお持ちの方は当然、相続税対策をしておいた方が有利ですし、たとえ少なくても皆様で「分ける」財産があれば、相続をスムーズに進めるためにも、相続税対策は必要です。


今の状態では相続税がかかるのか、かからないのか、またどのような相続税対策をしておけばいいのか、まずは当事務所に相談されることをお勧めします。

2,500万円まで贈与税がかからないひとつの方法

相続時精算課税(65歳以上の親から20歳以上の子供への贈与に限ります)
この制度を使うと、親が子供に贈与した場合に、贈与の時には2,500万円までについて非課税となり、それを超える部分について一律20パーセントの税率で済みます。
当座の贈与税は少なくて済みますが、相続時に、この特例で贈与を受けた金額を相続財産に加えて相続税を計算して、出た相続税の金額からその時支払った贈与税を引いた分を結局は支払わなくてはならないので、結果的には相続税は少なくならないのです。


ですので、今贈与をした財産が、将来相続時までに大幅に値上がりした場合を除いては、相続税の軽減の効果はあまり期待できません。


ですが、今現在困っている場合、例えば

  1. お子様がお家を購入する資金が足りないので支払ってやりたい。
  2. お子様が借金の返済に困っていて助けてやりたい。
  3. 会社の経営者の方が、自社の株をお子さんに譲る。
などの場合の、大きい金額の生前贈与には大変役にたちます。


ただし、利用するかしないかの判断は税理士・司法書士等の専門家に相談されることをお勧めします。
まずは当事務所へご相談ください。

生命保険による相続税対策のひとつの方法

生命保険の保険金には、残された方の生活のために「500万円×法律で決まった相続人の数」の金額までは非課税になる場合があるのです。(ただし、保険契約の結び方に条件があります。これを間違えると所得税や贈与税がかかる場合もあります。)
  1. 生命保険の保険金によって財産を残すことにより、相続税が少なくなる場合もあります。
  2. 保険金は預貯金と違ってすぐに使うことができますので、お葬式費用や相続税の納税資金など、まとまった出費に有効です。
  3. 保険金の受取人をあらかじめ指定しておくことで、後々のトラブルを予防することにもつながります。

亡くなった方のご自宅を相続する場合に評価額を安くするひとつの方法

最近特に大きな資産家の方々の多くが、ご自宅の評価額が高くて相続税が払えずに全部もしくは一部を売ったりしているのをよく耳にします。
そういった場合に、評価額を低くすることのできる、特例があります。
この特例では、お亡くなりになった方がご自宅として使用していた土地については、200平方メートルまでの部分について50パーセントの評価になります。(小規模宅地等の特例)
さらに、その土地を同居の相続人の方がそのまま相続して住み続けていれば、240平方メートルまでの部分については20パーセントの評価になります。(特定居住用宅地等の特例)
この特例を使うことは非常にメリットが高いと思います。
そこで、財産を分ける時にはなるべくこの特例が使えるように考えるといいでしょう。
ただし、利用するかしないかの判断はまず当事務所に相談されることをお勧めします。

上記以外にも相続税対策の方法はいろいろあります。さまざまなケースがございますので、まずは当事務所にご相談ください。